統計学の知識・スキルを資格として証明しておくことは、就職・転職、あるいは社内でのキャリアディベロプメントにおいて役立ちます。
この記事では、「統計学の資格を知りたい」という方を対象に、以下についてご説明いたします。
本記事の内容
- 統計学の資格について
- 「統計検定」の特徴と種類
- 「統計士」「データ解析士」の特徴と種類
- 「統計データ分析士」の特徴と種類
自分の状況や目的に合う統計資格を見つけて、仕事やキャリアに役立ててくださいね。
当記事は、2020年8月時点の情報を参考にしています。
新型コロナウィルスの影響により、試験の実施に変更がある場合がありますので、最新の情報で確認するようにしてください。
統計学の資格について
統計学の分野には、たとえば会計学での「公認会計士」のような国家資格はありませんが、統計学の知識やスキルを評価する民間の資格があります。
いずれも、統計学の専門的な知識・スキルを評価する資格で、それぞれの資格にもレベルや内容に応じて、いくつかの種類が設けられています。
統計分野の3つの資格
統計検定の特徴と種類
「統計検定」は、統計に関する知識や活用力を評価する全国統一試験として、一般財団法人 統計質保証推進協会が運営している資格です。
日本統計学会により公式認定されており、さらに総務省・文部科学省・経済産業省・厚生労働省・内閣府により後援されていることにより、統計分野のスタンダード的な資格として幅広く認識されています。
試験の種類は10種類あり、大きく分けて3つのカテゴリーに分類できます。いずれも受験資格は特にありません。
カテゴリー | 統計検定の資格試験の種類 |
統計に関する知識やデータ分析力を評価 | 1級・準1級・2級・3級・4級 |
統計調査に関するもの | 統計調査士・専門統計調査士 |
データサイエンスに関するもの * | データサイエンス基礎・発展・エキスパート |
統計検定は、下記で紹介する他の2つの団体による統計資格と比較して、時期的に後発としてスタートしていますが、多くの省庁により後援されていることもあって、毎年受験者が増加しています。
また、2021年に新設されるデータサイエンス分野の3つの資格は、統計&データサイエンス分野の新しい専門資格として注目されています。
【統計検定の概要】
試験レベル | 試験内容 | 試験実施 | 受験料 | |
統計検定1級 | ・定量的なデータ解析に深くかかわるような大学での専門分野修了程度 ・統計数理と統計応用の2つの試験に両方合格が必要 |
・5題出題されて3問選択 ・統計応用は、人文科学、社会科学、理工科学、医薬生物学の4分野から申込み時選択 |
毎年11月 札幌、仙台、東京23区内、名古屋、大阪地域、福岡地域 他 |
統計数理&応用 10,000円 統計数理のみ 6,000円 統計応用のみ 6,000円 |
統計検定準1級 | ・実社会の様々な問題に対して適切な統計学の諸手法を応用できる能力を問う ・各種統計解析法の使い方および解析結果の正しい解釈 |
・4~5肢選択問題:20~30問 ・部分記述問題:5~10問 ・論述問題:3問中1問選択 |
毎年6月 札幌、東京23区内、名古屋、大阪地域、福岡地域 |
8,000円 |
統計検定2級 | 大学基礎科目レベルの統計学の知識の習得度と活用のための理解度を問う (1) 現状についての問題の発見、その解決のためのデータの収集 (2) 仮説の構築と検証を行える統計力 (3) 新知見獲得の契機を見出すという統計的問題解決力 |
4~5肢選択問題 35問程度 |
PBT試験(紙ベース):6月&11月 札幌、東京23区内、名古屋、大阪地域、福岡地域など CBT試験(コンピュータ): 全国の会場にて年間を通して実施 |
PBT試験:5,000円 CBT試験: 7,000円(一般) 5,000円(学割) |
統計検定3級 | 大学基礎統計学の知識として求められる統計活用力を問う |
4~5肢選択問題 30問程度 |
PBT試験(紙ベース):6月&11月 (2020年は6月のみ) 札幌、東京23区内、名古屋、大阪地域、福岡地域など CBT試験(コンピュータ): 全国の会場にて年間を通して実施 |
PBT試験:4,000円 CBT試験: 6,000円(一般) 4,000円(学割) |
統計検定4級 | 統計表やグラフ、調査・実験、確率の基礎と活用の知識に関する学習の理解度を問う | 4~5肢選択問題 30問程度 |
PBT試験(紙ベース):6月&11月 (2020年は6月のみ) 札幌、東京23区内、名古屋、大阪地域、福岡地域など CBT試験(コンピュータ): 全国の会場にて年間を通して実施 |
PBT試験:3,000円 CBT試験: 5,000円(一般) 3,500円(学割) |
統計調査士 | ・統計検定3級合格程度の基礎知識に加えて、社会人に求められる公的統計の理解とその活用力の修得を評価 | 4~5肢選択問題 30問度 |
PBT試験(紙ベース):11月 札幌、仙台、東京23区内、名古屋、大阪地域、福岡地域 他 CBT試験(コンピュータ): 全国の会場にて年間を通して実施 |
PBT試験:5,000円 CBT試験: 7,000円(一般) 5,000円(学割) |
専門統計調査士 | 統計検定2級合格程度の専門知識に加えて、社会・経済で広く利用される統計や各種の調査データの作成過程、および利用上の留意点などに関する総合的な知識水準を評価 | 4~5肢選択問題 40問度 資格認定には統計調査士に合格していることが必要 |
PBT試験(紙ベース):11月 札幌、仙台、東京23区内、名古屋、大阪地域、福岡地域 他 CBT試験(コンピュータ):2020年中に開始予定 |
PBT試験:10,000円 |
データサイエンス基礎 | 新学習指導要領で共通必履修化された数学科と情報科の両科目における「データの分析」・「データの活用」の単元を中心に大学入試までの内容レベル | 大問7~10題(小問3問/大問1題)合計小問20~30問程度 | CBT試験:2021年3月末開始予定 | 未定 |
データサイエンス発展 | 数理、計算、統計、倫理に関する大学教養レベルの内容 | CBT形式 30問程度 |
CBT試験:2021年2月末開始予定 | 未定 |
データサイエンス エキスパート |
計算、統計、モデリング、領域知識に関する大学専門レベルの内容 | CBT形式 40問程度 |
CBT試験:2021年9月末開始予定 | 未定 |
主として学生から30代にかけての社会人が多く受験しています。統計スキルを活かしたキャリアを歩みたい方におすすめです。
これらのなかで、「統計検定3級」「統計調査士」は、いずれも統計の基礎レベルの資格として、はじめの一歩の資格としておすすめです。
以下の記事で詳しくご紹介していますので、参考にしてください。
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統計検定3級の難易度・合格率・勉強時間は?【おすすめ勉強法も紹介】
続きを見る
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統計調査士の難易度・合格率・勉強時間は?【おすすめ勉強法も紹介】
続きを見る
公式サイト:統計検定
統計士とデータ解析士の特徴と種類
「統計士」「データ解析士」は、一般財団法人 実務教育研究所が運営している統計の初級資格および中級資格です。
「統計士」も「統計データ解析士」も、実務教育研究所による該当の通信講座を修了することにより取得できます。これらの講座は、文部科学省により認定されている通信講座です。
【統計士とデータ解析士の概要】
レベル | 通信講座 | 講座の対象 | 受講期間 | 受験料 | ||
統計士 | 初級 | 現代統計実務講座 | 統計を基礎から体系的に理解し、統計的手法を身につけたい方 | 8ヵ月~12ヵ月 | 在籍期間内にすべての報告課題を提出し合格した上で終末試験に合格した方 |
入学金 5,000円 受講料 54,800円 |
データ解析士 | 中級 | 多変量解析実務講座 | 統計の基礎知識のある方で、統計的技法を仕事に活用したい方 | 4ヵ月~8ヵ月 | 入学金 5,000円 受講料 49,500円 |
一般的な資格のような試験ではなくて、通信講座の修了・終末試験の合格により資格が認定されるところに特徴があります。
統計データ分析士の特徴と種類
統計科学研究所では、統計データ分析や多変量データ解析等に関するさまざまな統計講座を開催しています。
「統計データ解析士」には1級~3級までがあり、いずれも統計科学研究所が主催している統計講座等の受講が必要となります。
【統計データ分析士の概要】
取得科目・講座 | レポート審査 | 口頭試問 | 受講料・審査料 | |
統計データ分析士1級 | 統計科学研究所の公開講座から指定の科目を計18単位以上 (大学での単位修得による認定も可能) |
実際の統計データ分析に関するレポートを提出 | ・統計データ分析に関する知識・理解度等を判定する口述試問 ・全科目を統計科学研究所で履修した場合は省略 |
受講料:2単位で25,000円など 審査料:30,000円 |
統計データ分析士2級 | 統計科学研究所の公開講座から指定の科目を計15単位以上 (大学での単位修得による認定も可能) |
N/A | 受講料:2単位で25,000円など 審査料:10,000円 |
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統計データ分析士3級 | ・統計科学研究所の「やさしい統計データ分析入門」を受講 ・受講終了後2週間を目途に解答を提出して、80%以上で合格 |
N/A | N/A | 受講料18,000円 資格受験料 7,000円 |
3級⇒2級⇒1級と進むにつれて、統計データ分析の幅広いエリアの知識とスキルを問われる本格的な資格です。
公式サイト:統計科学研究所
まとめ
上記で見た通り、3つの異なる団体が主催していますので、それぞれの資格の要件や費用は大きく異なりますね。
一般的な学生や社会人にとっては、特別な受験資格を必要とせず、多くの省庁により後援されている統計検定が、受験しやすい資格と言えるでしょう。
いずれにしても、各資格の特徴をよく理解して、資格取得の準備を統計学の勉強に効果的に活かしつつ、資格という証明を仕事やキャリアに活かしてくださいね。