統計学の資格

統計調査士の難易度・合格率・勉強時間は?【おすすめ勉強法も紹介】

統計調査士の難易度・合格率・勉強時間は?【おすすめ勉強法も紹介】

マリー

リケジョという言葉がなかった時代からの理系女子。数字を使ったビジネス畑を歩んできました。統計学を楽しく学ぶ方法や統計スキルを活かしたキャリア情報を発信します。

「統計調査士」は、政府等によって作成される公的会計に関する基本的な知識と、公的会計を適切に利用する能力に関する資格です。

統計データに基づいた意思決定がますます重要になるにつれて、「統計調査士」という資格に興味を持つ人が増えています。

この記事では、「統計調査士について詳しく知りたい」という方を対象に、以下のことをご説明いたします。

本記事の内容

  • 統計調査士はどんな資格?
  • 統計調査士の出題範囲は?
  • 統計調査士の難易度・合格率は?
  • 統計調査士の勉強方法・勉強時間は?
  • 統計調査士取得後の次なる展開は?

「統計調査士」の資格取得を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

当記事は、2022年5月時点の情報を参考にしています。

 

統計調査士はどんな試験?

統計調査士は、正確には「統計検定 統計調査士」という名称の資格で、日本統計学会が公式認定している「統計検定」資格試験のひとつです。

統計検定の種類には10種類あり、大きく分けて3つのカテゴリーに分類できます。

カテゴリー 統計検定の資格試験の種類
統計に関する知識やデータ分析力を評価 1級・準1級・2級・3級・4級
統計調査に関するもの 統計調査士・専門統計調査士
データサイエンスに関するもの データサイエンス基礎・発展・エキスパート

 

「統計調査士」は、統計調査に関する資格二つのうちの一つです。同じ統計調査の上位資格として「専門統計調査士」があります。

統計調査士の概要については、以下のとおりに整理できます。

統計調査士について】*
試験の概要 「統計検定3級程度の基礎知識」に加えて「社会人に求められる公的統計の理解とその活用力の習得」を評価する
試験の内容 統計の基本(統計の意義と役割、統計法規)
統計調査の実際(統計調査の基本的知識、統計調査員の役割・業務)
公的統計の見方と利用(統計の見方、統計データの利活用)
出題形式 5肢選択問題
問題数 30問
試験時間 60分
合格水準 100点満点で70点以上
受験資格 特になし
受験形態 CBT試験(コンピュータを使った試験)
受験会場 CBT試験:全国の約270の会場から選ぶ
受験時期 CBT試験:年間を通して実施
受験料 5,000円(税込)
*:統計検定のウェブサイトより作成

 

統計調査士についての紙媒体での試験(PBT試験)は、2021年11月の試験で終了しており、現在はすべてコンピュータを使った試験(CBT)試験です。

統計調査士の受験には、特に受験資格はありませんので、多くの人に開かれた資格試験です。

資格の名前に「調査士」が含まれる別の資格に「社会調査士」という資格がありますが、社会調査士の場合は、大学卒業&関連の単位取得が前提となっている点とは対照的です。

合格者には、日本統計学会が発行する「統計調査士」の認定証が授与されます。履歴書にも、「統計調査士」と記載することができます。各種調査の受注や官公庁への入札などで、「統計調査士」「専門統計調査士」などの資格者がいることが求められる場合があるので、就職活動・転職活動でメリットとなる可能性があるでしょう。

 

CBT試験が全国の会場年間を通して実施されるようになり、より多くの人が受験しやすい試験になりました。

CBT試験を受ける場合には、下記の通り、そのメリットとデメリットをよく理解しておくようにしましょう。

CBT試験のメリット&デメリット

メリット

  • 都合のよい日時で年間を通して受験できる
  • 全国の最寄りの試験会場で受験できる
  • その場で試験結果がすぐわかる
  • 前回の受験から7日間あければ再受験できる

デメリット

  • 画面で問題文やグラフを読むことに慣れておく必要がある
  • 紙ベースのように問題文に書き込みができない
CBT試験では、自分のスケジュールで学習&受験スケジュールをたてられます。このメリットを最大限に利用して、受験対策をしたいですね。

 

試験では、電卓を持ち込むことが可能です。持ち込み可能な電卓は、四則演算(+-×÷)、百分率(%)、平方根(√)の計算ができる一般電卓または事務用電卓を一台持ち込むことができます。

 

統計調査士の試験にはどんな問題が出るのか?

統計調査士の試験にはどんな問題が出るのか?

 

具体的な出題範囲

上記の表での試験内容は、ちょっと抽象的でイメージしづらいですね。

「統計の基本」「統計調査の実際」「公的調査の見方と利用」の3つの大項目のそれぞれの具体的な出題範囲については、統計検定のウェブサイトにある「統計調査士 出題範囲表」で確認することができます。

出題範囲の多くは、公的統計や統計調査についての、基本的な用語や内容の理解が求められる内容となっています。

統計データの見方の部分は、統計検定3級の内容と重なる部分があります。「統計調査士」は、「統計検定3級」を取得した方の次のステップとしてもおすすめです。

 

「統計調査士」という資格の名称から、「統計学についてある程度の勉強をしてきた」ことをアピールできます。文系でも理系でも、自分の専門に加えて「統計の基礎知識」があることを示すことができますから、就職や転職時に効果的に活かしていきたいですね。

 

先に統計検定3級を取得するメリット

統計関連のソフトを使うと、数学的な理解が薄くても実務処理はできてしまうかもしれません。

しかし、統計学の数学的基礎をしっかり勉強しないままでいると、いつまでも数学的な部分がブラックボックスになってしまいます。高度な数学を理解する必要はありませんが、やはり統計学の基礎的部分を抑えておきたいですね。

統計検定3級は、統計学の一番基礎になる数学部分を範囲としている試験なので、「統計検定3級⇒統計調査士」という流れは、おすすめの勉強フローと言えるでしょう。時間的な余裕があれば、ぜひ検討をおすすめします。

統計検定3級については、以下の記事で詳しくご紹介しているので、合わせて参考にしてくださいね。

統計検定3級の難易度・合格率・勉強時間は?【おすすめ勉強法も紹介】
統計検定3級の難易度・合格率・勉強時間は?【おすすめ勉強法も紹介】

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過去問題の例

統計検定のウェブサイトには、現在行われているCBT式(コンピューター式)の試験での過去問題例は出ていないのですが、過去の紙ベースの試験の過去問題が、ウェブサイトに掲載されています。

下記でご紹介するように、過去の紙媒体での統計調査士の過去問題集が、日本統計学会の編集で出版されています。

 

統計調査士の難易度と合格率は?

統計調査士の難易度と合格率は?

 

統計調査士の難易度

統計調査士の試験では、「統計検定3級合格程度の基礎知識」に加えて、社会人に求められる「公的統計の理解とその活用力の修得」がテストされます。

したがって、内容そのものは「基本的なもの」が中心であり、きちんと準備をすれば難しいものではありません。

ただし、用語の定義や理解といった内容に加えて、統計検定3級レベルの数学的な知識も求められるので、その部分の準備をきちんとして試験に臨むようにしましょう。

また、実際の試験においては60分で30問程度を解答することになりますから、わからない問題に時間をかける余裕はありません。時間を意識して問題を解く練習が必要になります。

 

統計検定の合格水準と合格率

統計調査士の合格水準は、100点満点で70点です。

合格率については、過去の統計調査士(PBT試験)の記録を見ると、大体53%~55%程度で推移しているようです。

CBT試験の場合には、受験の準備が整った人が受験すると考えられるので、合格率はもう少し高いかもしれませんね。

 

統計調査士の勉強方法・勉強時間は?

独学の場合

テキストについて

日本統計学会公式認定の統計調査士に対応した標準テキストがあります。

2022年4月に刊行された比較的新しいテキストなので、これから受験準備を始める方は、こちらで勉強を進めましょう。巻末にCBT模擬問題・解答が掲載されているのも、参考になります。

また、立教大学 社会情報教育研究センターから、統計調査士の試験対策本として以下のものが出版されています。

 

過去問題集について

日本統計学会による公式教材として、過去問題集があります。

 

自分でテキストを読み進めることができる「基礎的な数学リテラシー」と「集中して勉強できる環境」があれば、これらを使った独学がおすすめの勉強法です。

この場合は、「テキストで内容の理解⇒練習問題⇒過去問題集で実践練習」という流れで進めていきましょう。

 

想定される勉強時間の例(参考)

想定される勉強時間については、個人の数学リテラシーによって違ってきますが、たとえば上記の「統計検定 統計調査士試験 対策コンテンツ」(A4サイズ)の勉強コンテンツページを平均1時間3ページで進めるとすれば、約23時間になります。

これに、過去問題集を解きながら理解&暗記をしていく時間を加えて、合計で約40~50時間というのがひとつの目安例になり得るでしょう。

「統計検定3級を持っている人」「大学の授業で関連の勉強をした人」「暗記が得意な人」の場合には、この時間より短くなります。

反対に、「統計学の素養がまったくない人」は、この時間より長くなると考えて、学習計画をたてていきましょう。

 

統計調査士対応のスクールについて

自分で勉強するより講座で勉強したいという方には、統計調査士に対応した講座もあります。

スクールでの勉強は、独学に比べて費用はかかりますが、以下のようなメリットが考えられます。

スクールで学ぶメリット

教材を目で読み、説明を耳で聞くことにより、独学よりも勉強を進めやすい。

コースに沿って勉強を進めていけるので、学習計画をたてやすい。

質問に対応してくれるコースでは、わからない点を解決できる。

コースにより「演習」や「まとめ」などがあるので、効率的な試験対策ができる。

自分ひとりでの勉強と比べて、モチベーションを維持しやすい。

 

以下に、統計調査士に対応しているコースをいくつかをご紹介しますので、参考にしてください。

新型コロナウィルスの影響により、コースの開催や運営に変更がある場合があります。最新の情報は、必ずコース運営者に確認するようお願いします。

 

スクール名 コース名 コース形態 料金例
立教大学
社会情報教育センター
統計調査士対策セミナー オンデマンド配信
(一般の人も受講可能)
5,000円(テキスト代込み)
資格の学校TAC 統計調査士試験対策講座 Web通信講座 33,000円

 

統計調査士のコースは、他の分野と比べると、あまり選択肢はありません。コースの内容をよく確認して決めるようにしましょう。

 

統計調査士取得後の展開は?

統計調査士取得後の展開は?

 

統計調査士を取得後に、さらに統計分野での勉強を深めていきたい場合には、いくつかの選択肢・シナリオが考えられます。

以下は、一般的に考えられる例に過ぎませんが、「統計スキル」をキャリアに活かしていきたい場合の参考にしてください。

統計調査士を取得後に想定されるシナリオ例
    1. 専門統計調査士」取得へと進み、公的統計を利用した各種の調査プロジェクトコンサルティングなど、仕事やキャリアに統計調査の専門知識を活かす。

    2. 統計検定2級」あるいは「データサイエンス」の資格へ進む。より幅広く統計スキルやデータサイエンス関連の勉強をして、就職や転職において、例えばマーケティングや医療分野などでの「統計スキルをもったスペシャリスト」や「データアナリスト」などの職種をめざす。

このように、「統計学」を自分の仕事・職種に活かしたい場合、「統計調査士」を足掛かりとして、いろいろなキャリアの可能性が考えられます。

 

データサイエンスのコースについては、下記の記事でも詳しくご紹介していますので、合わせて参考にしてくださいね。

【Reスキル講座】データサイエンスおすすめコース3選《転職サポートあり》
【Reスキル講座】データサイエンスおすすめコース3選《転職サポートあり》

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まとめ:「統計調査士」は就職・転職での《プラスαの資格》としておすすめ

これからの時代、どのような道を歩もうとも、統計学の基本は抑えておきたい分野です。

統計調査士は、統計検定3級とセットで取得すると、就職・転職において「統計学の基礎的知識をもつ人材」としてアピールすることができますから、時代の流れに沿った資格と言えるでしょう。

さらに、統計調査士を取得することで、統計分野の専門職としての出発点につながります。

統計調査士の資格取得を、統計スキルを活かしたキャリアの最初のステップにしてみませんか?

 

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